お茶のお話4

ページ番号1002610  更新日 2021年5月24日

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鮮葉の酸化を極端に抑えてつくられる日本茶は、おいしいクスリ。

効能たっぷり緑茶・抹茶の健康作用

暮らしの中のありふれたことをいうのに「日常茶飯事」という言葉があります。毎日の生活の中で欠かせないお茶は、飲料として飲まれる遥か以前には薬として存在していました。そのせいでしょうか、薬もお茶も飲むことを「服する」といい、薬の一回分を「一服」、仕事の合間に休息することを「一服する」といったりします。お茶が薬の時代を経て、知識人のたしなみとして、さらには茶道という芸術に昇華され、一方では食事のときや休憩のときなどに飲まれてきました。紀元前にまで遡ることのできる長い長い付き合いでいながら科学的研究がされてこなかったお茶が、近年にわかに脚光を浴びています。お茶の持つ多くの薬効について科学的なデータが明らかになってきました。一例を挙げればお茶の産地の人々は、産地以外の人よりガンにかかりにくいといったデータや、粉末茶から抽出した液で染めた緑茶染めの肌着や靴下などは抗菌、消臭作用があり、アトピーなどのアレルギー皮膚炎にも効果が期待できるといわれています。食用の方面では佃煮、カテキン卵も登場。「飲むお茶」から「食べるお茶」へ、そして「着るお茶」へ、お茶と健康の関係はますます追求されています。いずれにしても医療応用への本格的な研究はまだ始まったばかりというところでしょう。

イラスト:茶という漢字

108歳の長寿を祝うことを「茶寿」といいます。この由来は「茶」という漢字の組み立てによります。旧字の草冠が十と十で二十に通じ、草冠を取った部分(漢字の脚にあたる部分)は八十八と書き、20と88で108になり108歳の祝いを茶寿と呼びます。お茶は養生、長寿の妙薬。予防医学の一部としてお茶のスーパー薬効飲料たる理由を、その成分から証明しましょう。

お茶の成分と効能

お茶を構成する大部分はカテキン(渋味)、カフェイン(苦味)、テアニン(うま味)です。

お茶の成分と効能
お茶の成分 効能
カテキン類(お茶の渋味成分)
  • 発ガン抑制作用
  • 抗腫瘍作用
  • 突然変異抑制作用
  • 抗酸化作用
  • 血中コレステロール低下作用
  • 血圧上昇抑制作用
  • 血糖上昇抑制作用
  • 抗菌作用
  • 抗インフルエンザ作用
  • 虫歯予防
  • 口臭予防(脱臭作用)など
カフェイン
  • 覚醒作用(疲労感や眠気の除去)
  • 利尿作用
ビタミンC ストレス解消
ビタミンB群 糖質の代謝
γ-アミノ酪酸(ギャバ) 血圧降下作用
フラボノイド
  • 血管壁強化
  • 口臭予防
多糖類 血糖低下作用
フッ素 虫歯予防
ビタミンE
  • 抗菌化作用
  • 老化抑制
テアニン(アミノ酸の一種) 緑茶のうま味成分

発ガン、腫瘍を抑制

茶産地のガン死亡比は全国平均の約5分の1であることに着目、マウスやラットを使った様々な研究が行われてきた結果、緑茶の渋味成分であるカテキンが主として、抗腫瘍作用、発ガン抑制作用を持っていることが明らかになりました。カテキン、ビタミンCは、水(湯)に溶けるのでお茶として体に取り入れることができますが、水に溶けないカロチン、ビタミンE、食物繊維は飲むだけでは摂取されず、その点お茶の葉を石臼で碾いて微粉末になったお抹茶は緑茶成分を全部飲んでしまうことができ、大変効率よく取り入れることができます。

高血圧を予防

昔からよくお茶を飲む人には高血圧や脳卒中が少ないといわれています。カテキンには血圧を押さえる効果があることが、脳卒中を起こしやすいラットの動物実験でも報告されています。ある報告によると、1日にお茶を5杯以上飲む人の脳卒中による死亡率は、5杯以下しか飲まない人の2分の1以下という結果が出ています。

コレステロールの上昇防止

血液中にコレステロールが増えすぎると、動脈硬化を招き、狭心症や心筋梗塞、脳血管障害など引き起こす原因にもなります。ラットを使った実験で、カテキンがコレステロールの上昇を抑制する特徴を持っていることが分かりました。しかもよく知られているようにコレステロールには善玉と悪玉のコレステロールがあり、驚くことにカテキンは悪玉コレステロールのみを減少させています。

血糖値を下げ、糖尿病を防止

生活習慣病の一つであるといわれる糖尿病は、一口でいうと血液中のブドウ糖の量が増え、尿中にブドウ糖が排泄されるようになる病気です。現在40歳以上の日本人10人に1人はいるといわれ、一度かかると根治しにくく動脈硬化や網膜剥離を招くこともあります。昭和10年のこと、抹茶を毎日飲んでいた糖尿病の患者が、治療法であるインシュリン注射をやめても血糖値が上がらないという現象が見られ、不思議に思った医師が他の患者にも1日3回抹茶を飲ませて調べたところ、9人中8人までが尿糖の血糖値が上がらないという結果がでました。現在、お茶のカテキンや多糖類の中には、血糖値を下げる働きを持つもののあることが分かっています。

抗酸化作用で老化防止

ガンや老化の原因になる過酸化脂質。これは体内の脂質が呼吸によって取り入れられた酸素の一部の活性酸素と結び付き性質が変化し、体にとって悪く作用します。血管の壁にこびりつき動脈硬化を引き起こしたり、老化色素をつくり年齢に比例して体内に蓄積され、老化を促進させます。その体内の酸化反応を抑える抗酸化物質が、お茶に含まれているカロチン、ビタミンC、E。さらにカテキンはビタミンEの20倍もの抗酸化力を持ち、天然の酸化防止剤として利用されています。

食あたりと風邪の予防

お茶に含まれるカテキンは、ウイルスの増殖を防ぎ、毒素を無毒化させる作用があります。お寿司屋さんで出される「上がり」、おなかの調子の悪いときにお茶がいい、など体験から生まれた生活の知恵が、研究でも実証されています。この他、細菌の増殖を防ぐことから虫歯(お茶は歯の表面を強くするフッ素も成分として含まれています。)や歯周病対策にも、煙草のヤニやニンニクの臭い消しにも有効です。またインフルエンザウイルスにも効果があるため風邪を予防します。お茶でのうがいはかなり効果的です。この特性から最近では、エイズウイルスの増殖を抑制する効果があることも解明されつつあり、今後の研究が期待されています。

眠気や疲労感を取り、心身をリフレッシュ

中枢神経を興奮させるカフェインは、眠気や疲労感を取る以外にも、強心作用や利尿作用を持つことも分かってきました。コーヒーと比べお茶のカフェインは作用が緩やかです。仕事の合間の一杯のお茶は、頭をすっきりさせ、体の疲れを癒やしてくれます。

抹茶などの一杯あたりの飲用成分表

成分

抹茶(2g)

煎茶(10g)

番茶(10g)

ウーロン茶(10g)

紅茶(10g)

コーヒー(10g)

カフェイン

0.06g

0.02g

0.01g

0.02g

0.05g

0.04g

タンニン

0.2g

0.07g

0.03g

0.03g

0.1g

0.06g

タンパク質

0.6g

0.1g

φ

φ

0.2g

0.2g

脂質

0.1g

0

0

0

0

0

糖質

0.6g

0.1g

φ

φ

0.1g

φ

繊維

0.2g

0

0

0

0

0

カルシウム

8mg

2mg

3mg

2mg

2mg

3mg

リン

7mg

1mg

1mg

1mg

3mg

4mg

0.3mg

0.1mg

0.1mg

φ

0

φ

カリウム

54mg

18mg

21mg

13mg

16mg

55mg

ビタミンA

320IU

0

0

0

0

0

ビタミンB1

0.01ug

0

0

0

0

0

ビタミンB2

0.03ug

0.03ug

0.02ug

0.03ug

0.01ug

0.01ug

ビタミンC

1ug

4ug

2ug

0

0

0

カロチン

580ug

0

0

0

0

0

ナイアイシン

0.1mg

0.1mg

0.1mg

0.1mg

0.2mg

0.3mg

出典:西尾茶史(平成5年発行)

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